金融や教育から考える過去と現在
今年度は小学校で金融教育を実践する機会に恵まれました。ゼミでチームを組み5時間構成で実践し、私は3時間目を担当しました。
担当した3時間目の課題は、
「大人になったときに自分が幸せになるには、1か月の給料はいくら必要か」でした。かなりおもしろかったです。
また、時数の関係でできませんでしたが、次のような課題でも授業をしてみたいと思っていました。
その課題は、
「家計の金融資産構成の日米比較のグラフから分かること」をまとめた上で、「あなたが今、宝くじで100万円を当てたらどうするか」でした。
日本銀行調査統計局によると、日本の金融資産の半分以上は現金・預金で、アメリカは半分以上が資産運用に充てられています。そのグラフを子どもたちに与え、考えさせたいと思っていました。
ある日の休み時間に小学生に聞きました。「お金ってどういうもの?」と。
小学生はすぐに答えます。「お金は貯めるもの」であると。
真面目に働いて貯金をするのが正しい生き方であると、真面目な親の姿から子どもは学んでいるのでしょう。(もしくは、アリとキリギリスの寓話において、アリの生き方がもてはやされている影響が大きい?)
0.001%
現在は超低金利の時代です。
金利 0.001% というのは、銀行に100万円を10年間預けていても、100万100円にしかなりません。
つまり、10年間でたった100円しか増えないのです。
私は小学生のときにお年玉を定期預金していました。なにもしないのにお金が増えていくのがすごくうれしくて、けっこう積極的にしていたと思います。
日本銀行の統計によると、私が10歳くらいのときは、定期預金は年利6%強でした。もう30年も前の話です。
仮に金利6%だったとすると、12年でお金はおよそ2倍になります。つまり、銀行に100万円を12年間預ければ、約200万円になるのです。(複利の効果はすごい!ちなみに10年間であれば約180万円になります。そういう計算ができるサイトもありますが、エクセルで簡単にできるので、やってみると実感がもてるのでおもしろいです)
今、私は2人の子どもの親です。その親が子どものころ、年利6%のような時代があったので、預金する人がいまだに多く、その子どもは親の姿や考え方に影響を受けているのだと思いました。
また、金融庁によると、1995年~2016年の約20年間で、金融資産が日本は1.54倍にしか増えていないのに対し、アメリカは3.32倍に増やしたそうです。これも、日本の金融資産の半分以上は現金・預金で、アメリカは半分以上が資産運用に充てられていることから、その理由を考えることができます。
さらに、インフレが進めば、お金の価値は減っていく一方です。日本の政府は、「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げ「NISA」を始めるなど、税金優遇制度もできています。
金融資産の半分以上が現金・預金でもよかった時代ではなくなってきています。なんだか、教育現場も同じだなって思えてきました。明治時代の学制公布から150年、チョーク&トークの授業、1回限りの一斉一律授業をし、従順な姿を子どもたちに求めていく時代ではないと思います。さらに、今の学校で教えている知識・技能は人工知能には勝てません。
「一人一人が明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる日本でありたい」という願いと、「若者にとって希望に満ち溢れた日本を作っていきたい」という思いが込められて、「令和」が誕生しました。それから数年が経ちます。私たちは何ができるのか、子どもたちに何を与えられるのか、どんな姿を見せていけるのかをもっと考えていきたいと思います。