高いワインと私の授業
値段が高いワインと、安いワインでは、どんな味の違いがあるのだろうか?
大学の授業でシニアソムリエの方からのお話を聞く機会がありました。
その事前学習で、ワインの味について調べている方がいました。
結論は、
・安いワインほど、味が単純で果実の凝縮感がある。
・高いワインほど、複雑でエレガントさがある。
というのが一般的な違いだそうです。
私は、高いワインより安いワインを好みます。私にとっては安いワインの方が飲みやすいからです。
そのとき、「ワイン」と「これまでの私の授業」が結びつきました。教師としての年数を重ねるほど、より高いワインを子どもたちに提供する授業を行っていたことに気づきました。
私は、複雑でエレガントな味に酔っていました。もしかしたら、私と同じように酔うことができる子も何人かはいたかもしれません。でも、ほとんどの子はその味は口に合わず、適当に付き合ってくれていたのだと思います。おいしいふりをしたりして。おいしいふりができなかった子は、高いワインを口にすることをやめました。それを「不適応」としてしまっていた。
教材研究をすればするほど、教科内容の知識が増え、その結果、いろんなことを付け加えて複雑にしてしまう。そして、分からない子のことが分からなくなる。これまでの私の授業は、高いワインにはまってしまい、その味を全員に押し付けてしまう授業であったことに気づきました。味の好みは人それぞれ違うのに。「みんな同じ」に囚われていました。
私はこの事前学習で、「ソムリエとしての生き方」について調べましたが、多様で多数の方との関わりの中から新たなことを考えることができました。今後も自分とは違った考え方や視点に関心をもち、そこから得られる気づきを大切にしていきたいと思います。